豊かな肢体が燃えるとき―――滝田和郎はプロレーサーとして若者のアイドル的存在となっていた。スピードウェイで練習中、広いスタンドに一人ポツンといる女に目を留める。翌朝の渚で、レコードを海に投げる女を見かけると昨日のスタンドの女で、歌手の榊ナオミだった。ファンとの情事の後で電話が鳴る。浜辺で出会った若者の一人、哲也からだ。バイクでの勝負の提案だ。和郎が勝てば、哲也の恋人の洋子を抱かせ、哲也が勝てば和郎の愛車スティングレイをもらうというのだ。レースが始まった。和郎の華麗なテクニックの敵ではない。勝利した和郎は意気揚楊と洋子をマンションへ連れ帰った。数日後、小さな公園で和郎はふたたびナオミに会った。自然に二人は見つめ合い、笑いあった。どちらからともなく二人は手を結んだ。二人は、とりとめもなく歩いた。タ暮れの道を、二人を乗せた和郎のスティングレイは心地よさそうに走っていた。タ陽に映えた浜辺で、和郎は何を思ったのかライフル銃を持ち出すと、ナオミに握らせ「これで怒りをこめて俺を射て!」と叫んだ…。
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