昭和30年代初頭の玉の井。得飲店「小福屋」では、多くの女たちが春をひさいでいた。やくざの志波(蟹江)に入れ揚げているシマ子(宮下)、昨年の正月に繁子(中島)が作った1日26人の記録を破ろうと奮戦しているな粉(丘)。その繁子はもはや人気は下り坂。女将(絵沢)からは鞍替えを勧められている。そんな中、生娘のままこの店にやってきた公子(芹)は、結婚のため退職。女将にもらった餞別で新婚旅行へ。ところが2年の勤務は、彼女の体を変えていた。新郎のあまりに稚拙な愛撫に公子はガッカリ。帰郷早々、「小福屋」に戻って客を取る始末だ。一方、シマ子は志波が若い女と一緒にいたと、聞き激怒。ワレを忘れて男の元へ向かう。そんなさまざまな女のドラマをよそに、店仕舞いの時刻が迫ってきた。最後の追い込みにかかった直子は、おやじさん(殿山)から教えられた「股火鉢」で蜜壺を暖めて、効率よく男を回転させようとするが…。たくましい女への共感と畏敬。神代辰巳監督ならではの映画世界か女の職場・赤線に花開いた傑作。独自の呟くような歌に加え、漫画家・滝田ゆうの絵も挿入。